G-ray―Dance Caravan―
主催挨拶
本日はG-ray―Dance Caravan―「スティル」にご来場いただき、誠にありがとうございます。G-rayとしてはおよそ2年ぶり、2回目の企画となります。今回の企画は「―Dance Caravan―」と冠して、卒業・修了でつくばを離れたメンバーらとどのように活動を継続していけるか模索するための実験的な企画でもあります。事前にオンラインでやり取りしつつ各メンバーにリサーチをしてもらい、短期集中的に集まって作品創作をし上演までもっていく形が確立できれば、『キャラバン』のように全国各地をまわりたいと思い名前をつけました。
そして今回は「スティル」を上演します。スティルには「静かな、平穏な」、「静物画」、「まだ、今もなお」といった意味があります。僕の感覚では過去の記憶や写真は静的なものだけれども、その瞬間の熱を未だ帯びて佇んでいるように思います。楽しかった記憶はもちろんのこと、悲しく虚しい記憶でさえも。これは個人的な記憶ですが、コロナ禍の影響で祖父の死に目には立ち会えず、葬式にも参加できませんでした。なかなか帰省もできず、3年ぶりに帰った実家には僕のことを忘れた祖母がいました。その時にどうしようもない無力感を味わったのですが、それでも実家を離れ生き続けていくためにはそういった記憶に目を背けずしっかりと抱えていく必要があると感じます。
写真という視覚的な記憶、声から呼び起こされる記憶、ダンサーの身体を通じて想起される記憶、様々な記憶の断片が飛び交い、それらが過ぎ去っても今もなお静かな熱を帯び輝き続けるように。15分程度ないし3日間という短い時間であれども、鑑賞してくれた皆様が忘れてもふと思い出してくれる作品になると幸いです。
鈴木亮祐
出演
石原志織
私は3歳からダンスと共に歩んできました。ずっと憧れていた大学の舞踊専攻での学びは、想像以上に楽しくダンスにのめり込んでいました。しかし、大学4年生で怪我をし、約1年も踊れない日々を過ごし、その悔しさが記憶に深く刻まれています。その経験を胸に、今もダンスを止めることなく仕事の合間に活動しています。舞台で再びその記憶を共有できればと思います。
小澤早嬉
「記憶」といって思い出すのは、父と弟と犬のラッキーと山でよく遊んだ頃のこと。道のないところを進んで、変な所にはまったり、滑り落ちて転んだり。弟が先を行って、その後ろにラッキーと私。「そんなところにはもう行くなー」と言いながら楽しそうについてくる父。あの山は未知の世界で、そこに大好きな人たちと飛び込むワクワク感は今でも鮮明に思い出せる。 もうその頃の身体ではないけれど、またあの時の身体の喜ぶ感じ、見た景色を思い出して、それを踊りに映し出せたらいいなと思う。
齋藤瀬奈
人からはよくクールだと言われます。 自分でもそう思っています。 ただ時々、自分の信念に沿わないことが起こってカッとなったり、思うようにいかず悲しみが込み上げたり…異様なほどに感情が溢れ出ることがあります。 平然を装いたいけれども感情が止まらない。 そんな時、ある人からもらった手紙に「瀬奈は本当は熱い人だ」と書かれてありました。そこで、初めて気づきました。 2人の自分に翻弄されながらも、どちらも信じて、共に生きています。
鈴木亮祐
追憶にふける度に思う。 今に至っている道のりは正しかったのか。 これからの旅路は正しいのか。 楽しかった記憶もあれば、虚しい記憶もある。 賑やかだったあのリビングに置いてきたもの。 祖母に忘れられたりすること。 山の上から見た景色も色褪せていくのか。 振り返ることさえ怖い夜もある。 きっとどれもが大切な記憶、思い出となるはず。 思いを馳せ瓦礫を越え、前に進む。 過去の記憶が未だに、静かに熱を帯び照らしてくれると祈って。
福永将也
「記憶」について考えてみると、散歩中に見た面白い光景や、毎日のように寝そべっている近所の猫の画像が脳内に保管されていることに気づきました。そしてふと、写真や映像がない世界での「記憶」とはどんなものだろうと思いました。 私は物事を忘却し、それに抗うように、夜な夜なiPhoneのメモに自分が存在した痕跡を書き留めます。 記憶の残し方、記憶に対してどのようなアクションがとれるかに興味があります。
茂木孝介
公園にある大きな山。 祖父の背中をギュッと握り締め、自転車で一気に駆け降りる。 ガタガタとお尻に伝わる振動、耳に弾ける風の音。 悲鳴にも似た笑い声。 一歩踏み出す、また一歩踏み出す。 せっかくなら遠くに踏み出してみる。なんだか楽しくなってきた。 形なんてどうでもいい。不格好でもいいから、足跡を途切れさせずに描いていく。
協賛
atoto
流れ作業を嫌い、本物のアートを求め、芸術肌のスタイリストが集まる本格派サロン
居酒屋壽家
誰かに教えたくなる、知る人ぞ知る隠れ家居酒屋
デリカキッチンルル
オーナーシェフの美味しいものみんなに食べてほしいという思いから始まったお店
仲々
蓋が閉まらないほどの唐揚げが美味しく人気、リーズナブルなお弁当屋さん
協力
小松﨑結友、平山素子、筑波大学ダンス部